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太陽光発電で電気代削減、省エネできるのか? [太陽光発電シリーズ Part.2]

前回=> 太陽光パネル、太陽光発電について学ぼう Part.1 - dendecdenの家

 

1. 目的

 一般家庭の屋根に太陽光パネルを設置し、蓄電池の余剰電力を電力会社に10年間買い取ってもらうことを売電という。日本では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)によって、2020当時では21 円/kWhである。この価格は減少傾向であるため、太陽光発電の売電による収益や投機性は失われつつある。

 本記事では、エネルギー白書と国勢調査から一般家庭における平均的な消費電力量を計算し、2020年における気象庁の東京都の日照時間から求めた太陽光パネル5kWの発電量と比較する。最終的に、太陽光パネルによる省エネ化と電力料金の削減、売電による収益について考える。

 

2. 使用したデータ

 使用した各統計は2020年度を使用しているが、国勢調査の統計は2019年のデータである。これは、2020年度の国勢調査が現在未発表であるから。

3. 計算結果

一般家庭の年間最終消費電力量[kWh]

1.1E+11

一般家庭の世帯数[世帯]

5.6E+07

一世帯当たりの年間消費電力[kWh/世帯]

1946.5

一世帯当たりの太陽電池容量[kW]

5

東京都の年間日照時間[hours]

1909

太陽光発電の総変換効率*4[%]

50

一年間の発電電力[kWh]

4772.5

東京電力の従量電灯B, 20Aの場合の

一世帯一年当たりの電気料金[円]

52116.6

2020年における太陽光発電

電力買取価格[円/kWh]

21

総余剰電力買取価格[円]

59345.0

※1.0E+10 = 1*10^10 

 

4. 考察

4.1 太陽光発電による省エネルギー化と電気料金削減性

 表より、太陽光発電による発電電力量は、一世帯の年間消費電力を大きく上回る約2.4倍の値となった。このため今回想定した一世帯の消費電力は、太陽光発電による発電電力で賄うことが可能であることが判明した。また、電気料金削減性は売電価格が消費電力料金を若干上回っていることから、削減自体は可能であることがわかる。

 しかし、市販されているリチウムイオンバッテリーの容量は、0.5~2 kWhと小さいため、出力の変動が激しい太陽光発電において、実際には余剰電力が多く、家庭内で消費できる電力は限られることが考えられる。さらに、蓄電電力が少ないために充放電を繰り返すため、バッテリーの寿命を縮めてしまうことが予想できる。

 このため前回述べた通り、一世帯に限定したとしても太陽光発電主力化は困難であることが考えられ、省エネに貢献する程度しか能力が無いことがわかる。 

 

4.2 太陽光発電の収益

 表から、2020年から契約した時の年間売電総価格は5.9万円だった。太陽光パネル設置価格の相場は、5 kWのもので140万円*5である。FITによる契約は10年間であるから、総売電価格は59万円となり、このため売電偏重であっても利益は発生しないことが考えられる。

 さらに悪いことに、バッテリーの寿命が切れて10年間に1回でも交換すると、収益は悪化する。これは先ほども述べたようにバッテリー自体の容量が少ないため充放電を繰り返し確実に寿命が縮むことと、2kW程度の蓄電量では家庭における消費電力を賄えないため電力料金削減能力が低いためである。

 

5. まとめ

 これらのことから、太陽光パネルによる省エネルギー化は可能であるが、やはり主力電源として扱うことが困難であることが分かった。

 また、売電による利益は電気料金を若干上回るものの、最終利益としては設置コストが損失で残ることが分かった。このため、電気料金削減はほとんど無いことが考えられる。

 太陽光パネルによる発電の主力化、売電のどちらにおいてもバッテリーがボトルネックであることが理解できる。

 次回の記事では、省エネルギー化に偏重した太陽光発電システムや太陽光発電の利用方法を考案する。

 

6. 終わりに

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

うーん、やっぱり家庭での余剰電力売電は全然儲からないですね。

次回で太陽光発電シリーズは終わりにします。

よろしくお願いします。